「なんだか部屋の空気が重いな…」「会議室で集中力が続かない…」
そんな時、もしかしたらその原因は二酸化炭素(CO2)濃度の上昇かもしれません。人の呼吸によってCO2は増え続け、高濃度になると眠気や集中力低下を引き起こします。しかし、目に見えないCO2をどうやって測ればいいのでしょうか?
そこで役立つのが、今回ご紹介するMH-Z16です。これは、電子工作の世界では定番のNDIR(非分散型赤外線吸収)方式を採用した、高性能なCO2センサーモジュールです。
この小さなセンサー一つで、あなたの部屋やオフィスのCO2濃度を正確に「見える化」し、適切な換気のタイミングを知ることができます。
この記事では、電子工作初心者から上級者まで、誰でもMH-Z16を使いこなせるように、その仕組みから具体的な使い方、そして応用アイデアまで、わかりやすく解説していきます。さあ、一緒にMH-Z16で快適な空気環境を手に入れましょう!
MH-Z16とは?高性能なNDIRセンサーの秘密
MH-Z16は、その名の通り、WinSensors社製の二酸化炭素濃度センサーです。CO2の測定にはいくつかの方式がありますが、MH-Z16が採用しているNDIR(非分散型赤外線吸収)方式は、特に精度が高く、長期的な安定性に優れていることで知られています。
その仕組みは、非常にシンプルでありながら巧妙です。
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赤外線の発射: センサー内部の光源から、CO2が吸収しやすい特定の波長の赤外線を発射します。
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赤外線の吸収: CO2分子は、この特定の波長の光を吸収する性質を持っています。センサー内部の空間を通過する間に、CO2濃度が高いほど、多くの赤外線がCO2分子に吸収されます。
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赤外線の測定: CO2を通過した赤外線は、センサーの受光部に到達します。CO2が多ければ多いほど、受光部に届く光の量が少なくなります。
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濃度の算出: センサーは、受光部の光の量を測定し、その減少量から空気中のCO2濃度を正確に計算します。
この方式は、他のガスに影響されにくく、ppm(parts per million、100万分の1)単位での高精度な測定が可能です。
入手方法
精度が良い分高価なセンサーであり、6000円~1万円全前後します。
現在取り扱っているお店は数が少なく、電子工作ステーションやせんごくネット通販で入手可能です。また、Amazonなどでも数は少ないですが入手可能です。
電子工作ステーションが一番安く入手可能です。
MH-Z16の主要スペック:DIYに最適な理由
MH-Z16が多くのMakerに愛される理由は、その性能と使いやすさにあります。
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高精度な測定: 測定範囲は、家庭やオフィスでよく使われる0〜2000ppmから、産業用途向けの0〜50000ppmまで、いくつかのモデルがあります。
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シンプルな通信方法: ArduinoやRaspberry Piとは、UART(シリアル通信)またはPWMを使って簡単に接続できます。UARTを使えば、CO2濃度だけでなく、温度情報なども取得可能です。
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安定した電源: 安定した5V電源で動作し、多くのマイコンボードと相性が良いです。
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自動校正機能(ABC): 長期間使用しても測定誤差が生じにくいように、自動校正(Automatic Baseline Correction)機能を搭載しています。
これらの特徴により、MH-Z16は、プロトタイピングから実用的なCO2モニターの自作まで、幅広いプロジェクトに活用できます。
MH-Z16で何を作る?プロジェクトアイデア集
MH-Z16を使えば、単にCO2濃度を測るだけでなく、それを活用した様々なガジェットを作ることができます。
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スマート換気システム: 部屋のCO2濃度が設定値を超えたら、換気扇を自動でONにするシステム。サーキュレーターや窓の開閉を促す仕組みと組み合わせれば、より快適な空間を維持できます。
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CO2濃度アラーム: CO2濃度が危険レベルに達したら、LEDを点滅させたり、ブザーを鳴らしたりするアラーム。視覚や聴覚で知らせることで、換気を促すことができます。
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CO2データロガー: リビングや寝室など、様々な場所のCO2濃度を定期的に記録し、その変化をグラフで可視化するシステム。空気環境の改善に役立つデータを収集できます。
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植物栽培のCO2モニター: 植物は光合成でCO2を必要とします。温室や栽培テント内のCO2濃度を測定し、最適な生育環境を維持するためのモニタリングに活用できます。
まとめ:MH-Z16で始めるスマートな空気管理
MH-Z16二酸化炭素センサーは、私たちの健康と快適さに直結する空気の状態を「見える化」してくれる画期的なツールです。その高い精度と使いやすさから、電子工作初心者でも気軽に扱え、あなたの生活の質を向上させるスマートガジェットを自作できます。
もし、あなたが部屋の空気環境を気にするなら、または新しいIoTプロジェクトのアイデアを探しているなら、ぜひMH-Z16を手に入れてみてください。この小さなセンサーが、あなたのDIY生活をより健康的で、よりクリエイティブなものに変えてくれるはずです。
価格を抑えたいのであれば、MH-Z19というのもあり、2500円前後とリーズナブルに入手可能です。ただし、取得範囲が400~5000ppmとなってしまいます。